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グレチャン って気安く呼ばないで❕ 正式名称グレイジングチャンネルの主張

今回はグレチャンの取替についてご紹介します。

 一年ほど前の連休明けに修理ガラスでお世話になったお客様から、四月初めにお電話を頂きました。四枚建掃出しサッシのグレチャンを取替えて欲しいというご依頼です。
 先ずはお名前(苗字だけだと取り違えてしまう事もあるので極力フルネームで)・住所・連絡先など最低限の内容を手早く伺います。急いではいるのですが、ご依頼されるお客様の状況によっては、とにかく急いで欲しいから とご用件だけ繰り返される方もいらっしゃいます。そんな時は一呼吸おいて、こちらは少しスローペースで対応し、電話を切る前には”少しお時間を頂くかもしれない”旨を添えます。
 その後直ちに担当者へと連絡を取り、情報を伝えてバトンを渡します。
 が、未だ対応は終わっていません。引き続き、先程伺った内容を表紙に記載して地図のコピーをとり、白紙の作業指示書とセットにして資料を整えます。電話一本取った後にはこれだけの作業が待ち構えていて、一連の作業を終えるのにそれなりに時間を要します。たまに電話が少ないな という日もあれば、今日どんな仕事をしたっけ という日だってあるのです。

 お客様は作業に従事した業務課員に、取替依頼に至った理由について話されたそうです。古くなったゴムがちぎれてしまっていて、そこに生じた隙間から水が浸入していたとのことでした。
 サッシメーカーは、過去の施工事例で二度ほど登場したアルナサッシです。見覚えのない方は、2023年9月18日の玄関引戸戸車と2024年3月8日の玄関引戸錠の事例案内でご紹介しておりますので、是非覗いてみて下さい。
 サッシのガラス溝幅は13mmで、ガラスのはめ込みは、室内側は先付け・屋外側は後付けの押えとなっていました。取替に際しては、双方ともにすべて撤去します。
 取替えに使用したのは、ガラス溝幅14mm・ガラス厚3・4mm用のブラックのグレイジングチャンネルです。

 私が学問として習った 建築用ガスケットを用いたガラスのはめ込み工法とは少し異なります。上記工法は二つに大別されます。一つ目はグレイジングチャンネルを用いるものです。グレチャンを伸ばさない様にしてガラス周囲に巻き付け、サッシにはめ込んだ後、コーナー付近に注意しながらガラスとサッシにチャンネルをなじませるようにして押さえていきます。つまり、グレチャンをガラスに先に付けた後にサッシに入れます。
 二つ目のグレイジングビードを用いる場合は、ガラスを先にサッシの溝に入れ込み、ガラスが溝の中央に来るように両側から、こちらでもコーナー付近に注意しつつ挿入し、十分に押し込んでいきます。つまり、ガラスを入れた後にビードを付けます。
 ところが、実務では名称もメーカーによりまちまちです。先付けビード・先付パッキン・押縁など様々な呼び方です。三方はグレチャンで下はビードなど混在する場合もあるのです。
 色々とググりながら賞味期限間近の頭で考えてみました。学術ではコの字型をしてガラスに先に付けるものをグレイジングチャンネル。先に入れ込んだガラスの両側に後から挟み込んで押さえるグレージングビードを大別して紹介。各メーカーがこれより派生させた独自の特化パーツまで全て取り上げるのは、学術的に困難。あくまでも、概論に留まっているのではないか という結論に達しました。知識に乏しい私はこの辺で身を引かせて頂きますので、詳しくお知りになりたい方は、ご自分でググってみられて下さい。

 能書きはさておき、実務面ではそれなりに手間・ヒマが掛かりました。障子四枚とは言え、テラスサイズで中残付きの障子を全て一度ばらして、ガラスを一度外さなければなりません。その後、先付け・後付け二種のガラス押えを全撤です。気持ちを新たにして、グレイジングチャンネルを丁寧に巻き付け、ガラス溝になじませていき、再び障子を組み直します。
 障子を建て込んだ後、建付けの調整を行ない、清掃・資材の片付けを終えてようやく使命終了です。施工日は、丁度暑さが増してきた四月の中旬で、取替工事には三時間ほど要しましたが、これで水の浸入もなくなります。
 今回も大変お世話になりました。また何か御座いましたら、お声掛け下さい。心よりお待ちしております。
 それではまた、どちらかのお宅の事例案内でお会いしましょう。