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ヒンジに突き上げ☝を クラウ戸

今回は、変形したフロアーヒンジを交換した際のお話です。

 通用口の扉の開閉を一手に担うフロアーヒンジ。扉に仕えてからかなりの年月を経ていたようです。修理依頼のご連絡を頂き、早速拝見させて頂きました。通用口に位置している扉は、左右共に施錠されて開閉できなくされていました。足元に目を向けるとフロアープレートが変形して浮き上がり、扉の吊元側を押し上げていました。これだけ変形していれば、当然開閉出来ないでしょう。

 フロアープレートを外すと、錆で全身を赤茶色に染めた本体が、疲れ切った様子で出てきました。これだけ錆くれていれば、調整を担当する部分も固まって動かないでしょう。固着して外れないこともあるので、素直に外れてくれただけでも救い物です。
 ここまで劣化した状態の場合は、あれこれと迷う必要がありません。扉そのものに異常が無ければ、フロアーヒンジ取替の一択です。取替の部品を特定して見積を作成し、かかる費用と所要納期をお伝えしてお返事を待つのみです。流石に通用口をいつまでも出入り禁止にも出来ないので、即ご用命となります。

 このようなヒンジの交換については、年に五件ほどご依頼を頂いております。
 使用するヒンジについては新設時に選定されます。主となる扉の寸法や重量によって適合するヒンジが限定されます。さらに、建具を支持する位置によって中心吊・持出吊・偏芯持出吊などに分かれ、開き方:一方開き・自由開きなどによっても製品が限られていきます。さらにはストップ無・付や調整などによって製品が絞り込まれます。この他埋め込む深さも関与してくるので、スラブが浅い場合には薄型の製品を選定します。

 今回、旧製品の特定にはそれ程手間取らなかったのですが、工事では手間がかかりました。既設のヒンジは簡単に外れたのですが、新しいヒンジがなかなか入りません。よく見ると古参の鉄筋が旧知の間柄の既設ヒンジとの別れを惜しみ、新しいヒンジの入居を拒んでいるのです。云う事聞かない奴は叩き斬ってやる とばかりにサンダーを手にしたのですが、悲しい事に鉄筋まで届かず、鉄筋はそれ見た事かと”あっかんべー” とあざ笑っています。負けるもんか とハンマーを振り、鉄槌を下して鉄筋を下方に曲げてひれ伏させました。鉄筋を完膚なきまでに打ちのめした後の作業は順調に進みました。新しいヒンジもスムーズに入り、最後にモルタルとコーキングで仕上です。
 今回も大変お世話になりました。開閉できずに不自由なさった事でしょう。
 それではまた、どちらかのお宅の事例案内でお会いしましょう。